一月二十日(土曜)

[#1字下げ]一月二十日(土曜)[#「一月二十日(土曜)」は中見出し] 十二時に、日比谷の陶々亭へ、滝村・斎藤・菊田・上山・平野を、二月作品打合せのため呼んだのだ。菊田が作ったストーリーをきく、ハデさが無く、老けなので気のり薄。陶々亭の三円の定食が、中々食へる。そこから日劇へ行き、島津の「光と影」を見る、やっぱり馬鹿に出来ぬものがある。小松へ行き理髪して座へ戻る。大満員である。声はまあ/\いゝ方。ハネると、服部良一・京極と共に、築地秀仲へ。近衛文麿の道楽息子文隆といふのがシャムパンをやたら抜くやら、僕は服部良一をつかまへて議論するやら大さわぎ。 沢正のセリフは、ナマリだらけだったが、ほんとは、ちっともナマリの無い人だったさうだ。してみると、あのナマリは、やっぱり僕の東北弁のやうなもので、一つの模写芸だったらしいのである。然し、あの声を出しつゞけてゐては、成程死ぬわけだと、「兵隊」をやりながら、思ったことだった。

[#1字下げ]一月二十一日(日曜)[#「一月二十一日(日曜)」は中見出し] 十一時迎へ来り、出かける。大満員だ。昼の終り、屋井が来て、風月へ食事に行く。コンソメ、ブフ・アラ・モドみなお軽少で腹が張らない。座へ帰り、新年会の打ち合せ、時節柄、夜おそく迄やる食べ物屋が無くて困る。夜の部、大満員、「新婚」やってる気持は、エノケンに近いやうだ。「兵隊」は、声出ず苦しかった。腹話術では、人形との小さい会話を多くする程、受けることを会得した。BKの奥屋能一郎「兵隊」に感激してた。ハネると、まっすぐ帰宅。

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