一月二十四日(水曜)

[#1字下げ]一月二十四日(水曜)[#「一月二十四日(水曜)」は中見出し] 十一時起き、三時に出て、下二番町へ寄る、成之兄が拓務参与官になったので、祝に商品切手持参する。それから東宝映画本社へ。森岩雄氏を訪れ、富士屋ホテル行きをすゝめる。三月東宝進出のことは、那波支配人も積極説ではないので止してスケジュール通りに運ぶことゝする。清月で天ぷら、胸やける、油がいけないのだ。座へ出る、大満員である。長尾克大尉元気な顔で来楽、佐藤邦夫も来た。小林一三氏見物で、「兵隊」熱演、げっそりくたびれる、ハネるとまっすぐ帰宅。美川きよの「女流作家」を読み上げて、不愉快。佐藤八郎の「公園三人衆」読みつゝ寝る。 二月の映画は、もう間に合はないが、その次作品からは、今迄のやうにアチラ任せでなく、大いにこっちも註文を出し、映画のロッパも、一俳優に甘んずることなく、プロデューサーとしても、責任を持ちたいと思ふのである。

[#1字下げ]一月二十五日(木曜)[#「一月二十五日(木曜)」は中見出し] 十二時半に女房と武蔵野館へ行き、ロナルド・コールマンの「放浪の王者」を見る、西洋阪妻剣劇。暖房が無いから寒いこと/\。出ると、中村屋へ寄りコーヒーを飲む。それからもとB・Rの紅白亭の家庭料理てのを試みに行く。不味くはないが、二円半とるのは如何だらう。座へ出る、大満員である。吉屋信子女史見物来訪。「兵隊」陸軍省へ頼み、推薦して貰ふやう、小笠原章二郎が骨を折って呉れてゐる。ハネ後、吉屋・門馬両女史に、築地金楽へ招かれ、御馳走になる。キング・オブ・キングあり、快し。どうも酔っても近頃理屈ばかり言ってゝいけない。 エノケンの酒が泣上戸、近頃の僕は、理屈上戸になり、肩のはる思ひで飲んでゐる傾向だ。これでは、ます/\労れるばかりだ。もっと、朗かな、ノンセンスな飲みが必要だ。

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